川柳「びわこ」2014、10月号より
「びわこ」はびわこ番傘川柳会発行、徳永政二編集の月刊誌です。
会員(であろうと思われる)作品10句が、いきなり表紙に掲載されていて、ちょっとびっくり。
で、その表紙の10句がとてもよくて、もういちどびっくり。
3句だけ引いてみます。
押さえてもチリンと鳴ってしまう水/北村幸子たっぷりと笑った母はたたみやすい
秋を待つ 耳を浮かべるようにして
おもしろーい。
そして中身(?)である誌面にうつります。
「びわこ近詠」という会員作品から
しがみつく物をカタログから選ぶ/北村幸子
まだ今はそこが唇なんですね/北村幸子
寡聞にして存じ上げないかたなんですけど、それはわたしの活動範囲の狭さに負うところ大です。ちからのあるかたなんだろうと思います。
なかはら的には今回、この作者に出会えたことが最大の収穫でした。
表紙の10句も近詠(こちらは選を経た6句)もとても好きなタイプの作品です。
どこが好きかと言えば、文体に無理がないところ。
過剰さがないのにセンスオブワンダーなところ。
思いがけない方向からことばがやってくるタイプの作品には、ガツンと殴られるようなところがあって、その暴力的なパワーもきらいではないんですが、北村作品には暴力的なところがまったくなくて、<思いがけなさ>がじわじわ来る、もしくは気がつけばすぐ横に<思いがけなさ>がいる、みたいな。しかもかすかにほほえみを浮かべながら。感覚的にはそんなかんじです。
わかりますかねー、わかりませんよね。
好きを説明するのってやっぱしむつかしいですね。
もうすこしうまく言えるようになるまで、引き続き考えます。
そのほか、気になった句(というか、好きな句)
甘鯛の顔と同じ方を向く/峯裕見子
つまみ出すザルに残っている人を/峯裕見子
木の高さまではと思う九月を思う/徳永政二
竹ぼうきなのでひとりごとなので/徳永政二
私の胃国家戦略上にある/竹井紫乙
嘘ついたあたりが沼になっている/平井美智子
秋の墓 報告しないことがある/深川さゑ
誰かには伝わるように砕け散る/重森恒雄
体内に鉄砲水のある間/平賀胤壽
美しい沈黙ふるえたりしない/徳田孝子
もう蝉が鳴きませんなあ空の色/笠川嘉一
*
もみじがり。山に行ってきました。
去年の紅葉は炎暑のために葉っぱが焼けてしまったらしくイマイチでした。そのうえあっという間に終わっちゃいましたしね。
今年は去年の分まできれいです。
スマホの写真なのでちょっと残念なところはありますが。
緑が混ざっていると、これもまた豪奢で美しいですね。
さいごに、きょうのまりん。
おんなのこなのに、なんだか王者の風格。
で、寝ます。
もちろんです。
(つまんないので、あたまのあたりをカキカキして起こしてみる。)
にゃーによぅ? ほっといてくれにゃい?
(右まえあし一本で押し出されました、飼い主の負け)