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週刊俳句

週刊俳句の2014年8月24日号は「柳×俳」の特集号。
俳人5人と柳人5人の10人で行った、柳俳合同誌上句会に参加しました。

自分以外のだれが参加しているのか、まったく知らされないまま、
投句し選句することは、ミステリートレインに乗ったような(乗ったことないけど)どきどき、わくわく感があって、とても楽しかったです。
選句結果も選評もおもしろいですよ。

必読です。

川柳と俳句。似ていて(五七五)、違うものが2つあってよかったですね。1つじゃあ、つまらなかったですよ。

こういうことを自然体で言えてしまう、
西原さんのしなやかさ、おおらかさに感動します。

ネットがあってよかった。




by nakahara-r | 2014-08-27 18:31 | 川柳

からすうり

たまには日記らしい日記など。

食器と食パンとペンさんが、なかはらの短歌にすてきなイラストを描いてくださってます。


いとうつくし。
いとうれし。

でも、この歌、けっして目印にしてはいけないものを目印にしている時点で間違ってます、はい。
なので「だから迷子になるんだよー」と歌人のO某氏に言われてしまうわけです。

迷子というキーワードでいつも思い出す光景があります。
わたしのいちばん古い、3歳か4歳のころの記憶の一片。
おまわりさんに抱かれてうすぐらい道をゆくと、泣きながら駆け寄ってくる祖母がいました。おまわりさんから、祖母の胸に抱き取られるわたし。
右手にからすうりを握ったまま。

それは町内会の日帰りバス旅行の帰りのできごとでした。
祖母はわたしと弟を連れて参加していました。
目を離すとどこへ行くかわからない弟に祖母はかかりっきりで、わたしはすこし淋しかったのかもしれません。
祖母はそんなわたしをすこし不憫に思ったのかもしれません。
駐車場まで歩く道すがら、生っていたからすうりを一個もいで握らせてくれました。

生まれて初めて見るからすうりでした。
ぴかぴかでつるつるで真っ赤で、そのうえくるくるした蔓までついていて、わたしは一目で魅了されました。

そんな魅力的なものが自分の手の中にあることが信じられず、うれしくて、おそれおおくて、ためすすがめつして見つめながら歩きました。

視野には前をゆく自転車屋のおばさんの茶色い靴があって、この靴についていけばいいんだと固く信じていました。

しばらくして「あれ?」と気づきました。
そこはバスの止まっている駐車場ではなくて駅だったから。
電車とバスの区別くらいはついたので、「おかしいな」と思ったのを覚えています。でも、いくら考えてもここがわからないんだけど、なぜか目印(だと信じていた)の茶色い靴に続いて電車に乗ってしまったのです。
成り行きだったとしか言いようがありません。
できることならその頃の自分に訊いてみたいものです。

しばらくして電車は発車しました。
車窓には知らない景色。車中は知らない顔ばかり。
さすがに「このままではまずい」と思ったのでしょう。切符を切りにきた車掌さんに、覚えたばかりの住所と名前を告げました。
そこからさきの記憶はとんでいます。


覚えているのは、パトカーに乗ったこと。おまわりさんの腕に抱かれたこと。
そして、握りしめたからすうりだけが、よすが、だったこと。

あとで知ったのですが、とつぜん行方不明になったわたしの捜索で池の底をさらう寸前であったらしく、それからしばらくの間、町内のおじさんやおばさんや、おじいさんやおばあさんから、外へ遊びに出るたびに「れいちゃん、どこ行くの?」と監視されつづけました。

こどものころはうっとおしくてしかたがなかった共同体ですが、
いまは、あの田舎町そのものに育ててもらったんだなあと、思います。

それから5、6年後にふたたび家出騒動をおこして、町内の消防団総出で捜索されたのは、また別のはなし。もう、ほんとにハタ迷惑なガキンチョでありました。


からすうり握ったまんま曖昧に笑ったまんまお別れをした
なかはられいこ



by nakahara-r | 2014-08-23 21:30 | ただの日記

胸中のほていあおいをどうしましょ

タイトルはねじまき8月句会の提出句。
胃酸過多なんです、さいきん(違っ)



あざみエージェントから、
ミニ句集シリーズ2の『ペルソナの塔』(西田雅子句集)が出版されました。
いぜん紹介した『やさしい雨』がシリーズ1です。
文庫サイズのフォト句集。

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鳥かごから逃がしてあげるわたしの手
六月は銀の鎖を降りてくる
運ばれて十一月の岸へ着く
バッグには折り畳み式水平線
洗いたての虹を渡ってゆく素足

著者:西田雅子
定価:1000円(+税)
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こういう句集が本屋さんにいっぱい並べば、ジャケ買いしてくれる女の子たちがきっといるはずで、その中には「わたしも川柳書いてみたい」って思う女の子もいるはずで、がんばれ!朝世さん! と思わず両手をグーにして思いました。
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撮影協力:まりんさん




外気温36度。
ほんとに日本か、ここは。
といういちにち。仕事はお休み。
エアコンの効いた室内でのんびり読書もいいなあ。
と思ったのだけど、問答無用で連れ出され、ひさしぶりにランチにいく。
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ちゃくじつに秋がきているらしく、木陰はすずしい。
36度だけど。


おなかはいっぱいだし、暑いし、
どっか静かでゆっくりできるとこへ行こうと、三甲美術館へ涼みに(?)行く。
長良川沿いの山のふもとにあって、場所もわかりにくいせいか、
平日でも土日でも、ここに人がいるところをあんまり見たことがない。

受付のおねえさんに、きょうは静かですねーと言ったら、
「いつも静かですよ。ソファもあるので、どうぞごゆっくりしていってください、貸切です。」とにっこりしてくれる。
だから、すきです、ここ。

ここは三甲という繊維会社(たぶん)の創業者の別邸だった三法荘が、
美術館として開放されたもの。
趣味人だった創業者があつめた(たぶん)、絵画や焼き物や工芸品なんかが展示されている。

庭園には茶室もあって、庭に面した部屋でお抹茶がいただける。
背後にあるのは金華山です。
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敷地内にはすごい数の沙羅双樹が植わっていて、初夏には椿に似た、はかなげな白い花でいっぱいになる。
別名「沙羅双樹の美術館」として有名なので、こんなに人がいないのは花の時期じゃないからでもあります。
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ルノワールもシャガールも梅原龍三郎も片岡珠子もあるし、
ガレのガラス器も、織部や黄瀬戸の茶器(めっちゃ高そうな)も常設されている。

で。
いちばん会いたかったのはこのこ。
(職員のおねえさんに写真撮影許可してもらってます)
藤田嗣治の猫なのだ。
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だーれもいない館内は静かで、すてきにすわり心地のいい、高級ソファでお昼寝もできて、ものすごい贅沢な気分になる。
(ちなみに相方は一時間も昼寝した)




by nakahara-r | 2014-08-20 20:17 | フォト日記

紙の上の句会、坂の上の句会

「おかじょうき」8月号より
今回は句会にこだわって読みました。

まず、誌上句会の特選句です。題は「雅」。
午後の廊下は蛇の抜け殻 そんな雨 笹田かなえ

ちょっとひんやりした、人の気配のない長い廊下、奥のほうまでひかりが届かないため、先はぼんやりしてる。そんなイメージが浮かびました。

「午後」「雨」「蛇」という語のつらなりで「冷、暗、静、長」という語が引き出されたのだと思います。どちらかと言えば暗くて妖しくて、うっかりすると情念に傾いてしまうところ、「抜け殻」のかさかさ感でほんのり薄らいでいるような気がします。
「そんな雨」の「そんな」が「午後の廊下は蛇の抜け殻」という措辞ぜんぶに掛かっていて、(ああ、なんだ、けっきょく雨のことしかゆってないじゃん)と気づかされておもしろかったです。
長いですよね、蛇だけに。

月例句会「屋」
リリアンの途中でミヤネ屋が怒る 月波与生

リリアン! とまずはびっくりして、「ミヤネ屋」でもういちどびっくりして、最後の「怒る」でみょーに納得しました。
ミヤネはいつも唐突に怒るという印象があって、平和にリリアン編んでる状況のひととしてはもう、怒ってるという、純粋な現象にしか意識がいかないのではないでしょうか。
で、そこでは「何に?」は置いていかれたままであるということを、再認識させられたのでした。

月例句会「安い」
笑顔笑顔笑顔笑顔(税込みで)柳本々々

スマイル0円ってやめたのかな、マック。(ちなみに関西ではマクドと言うらしいです)
4つ並んだ笑顔がカウンターに4人並んだおねえさんたちを思わせます。文字で映像が表現されていておもしろいです。
ちなみに、
えがおえが/おえがおえがお/(ぜいこみで)と、きっちり17音でもあります。
切断された二つ目の笑顔と、最後の(税込みで)に批評があって、カウンターのあっちとこっちに(税込みで)が浮遊している感覚になりました。

そのほか、印象に残った句。

ってな事でかたつむりに夕陽 奈良一艘
駄菓子屋の裏で緑青落としてる 守田啓子
インゲンぷらり 七百万の保証金 守田啓子
どもる服どもらない口どもる靴 柳本々々
群れを出る決意三色ボールペン 相田みつる
愛そうと思う吐き気が止まるまで 徳田ひろ子


ねじまき句会だったのでした。
雨ではないけど、どんより、じっとりしてる。
からだじゅうの水分が異様に重い。
浸透圧か。
と意味不明なことを思いながら、
名古屋駅から地下鉄に乗る。

「つぎはふしみー、ふしみー、つるまいせんはつぎのえきで」
とおなじみのアナウンスが流れる。
つるまいせんはつぎ。降車駅は東別院。
あ、あれ? 東別院はつるまいせんだっけ?
めいじょうせんだっけ?
栄だったよな、たしか。じゃ、めいじょうせんか。
つるまいが青でめいじょうが紫。
あれ、逆かな? どっちだっけ。

路線図のまえには背の高いおにいさんがいて、見えない。
スマホでぐぐる時間はない。
「ふしみー、ふしみー」
わ。着いちゃったよ、ふしみ。
降りるか、いや、栄だって、たしか。
えーい、ここは賭けよう。栄だ、降りない。

というわけで、みごとに賭けに勝つ。

句会後はコメダに拒否られ、上海語の飛び交う店へ。
桐子さんがアルコールに強いことは知っていた。
そのうえ辛いものにも強いことをきょう、知った。
無双やん。
どちらにもめっちゃ弱いわたしは、敵には回したくないなと、ひそかに思う、
のだった。(来月の句会につづく)


by nakahara-r | 2014-08-18 21:08 | 川柳

ジャンルがきらきらするとき

他サイト様の引用ばかりで恐縮なのですが、週刊俳句の「句集を読む」8月3日号で、柳本々々さんに『脱衣場のアリス』をとりあげていただいてます。

以下、脱衣場を抜けるアリスより抜粋。
 
川柳という言語表現は、そのときどきにおいて語り手としての主体をつきくずす。むしろ、そのつきくずしかたを定型を用いて言表するのが川柳のもつひとつの〈過激さ〉なのではないか。

発話位置を奪われた状態で発話位置を模索しつづけること。そしてその発話位置が発話したそのことによってすでに奪われてしまってあることをみもふたもなく確認してしまうこと。しかしそういうかたちでしか、発話位置を記述=言表しえないこと。

ああ、そういうことなのかと思いました。
ひとごとみたいでずいぶんなんですけど、なんかストンと、ああ、そういうことなのか、と思いました。

川柳を書き始めて間もないころ、作中主体である<わたし>は、生活者である<わたし>ととても近かった。でも、わたしたちの蜜月は長くは続きませんでした。一回りしてしまうと、ほんとうに書きたいのはそんなことではない、と気づいたのです。

自己の内部って、なんでしょう?
内面ってなんでしょう?
ひとはだれでもそんなに確固とした内部を持っているのもなんでしょうか。
自己の内面を書く、そんなことばを耳にするたび(そんなもん、ないめん)とか、性悪にもふざけてたわけです。
わたしの内面なんぞスカッスカで、かろうじて外部から入ってくる、ささやかな情報や、貧しい経験値がかさこそと存在するだけです。

大島弓子成分や、筒井康隆成分や、阿部公房成分はあるかもしれません。ハルキ成分もすこしある。椎名林檎成分も、キヨシロー成分も、ビートルズ成分もあり、おまけに不良少女成分やら、ダメ母成分やら、すて猫成分も、かたつむり成分も、欅の成分も桜成分もちょっとずつあります。あ、あと、えのころぐさも。(生まれ変わったら、えのころぐさになりたいので 笑)

そんな<わたし>を形成する無数の成分の粒子のどれかが、ある事象に触れたときに発する、かすかなひかり。ことばにはならないような、往来。
そんなものを捉えられて、しかも言葉に変換できたらいいなあと、不遜にも思っているのです。

柳本さんはご自身のブログのお知らせでも『脱衣場のアリス』の句集評を書いてくださっています。

なによりも謎なんですよね。なんだろう、川柳、俳句、短歌って、と。
なぜ、ジャンルが問い直されればされるほど、ジャンルそのものの価値がきらきらしていくんだろう、と。

かっこえー。

by nakahara-r | 2014-08-10 19:35 | 川柳

川柳ねじまき#1 こうべをたれる

息つめて、ずっと見てました。
圧倒的です。

柳本々々さんのあとがき全集。

「川柳ねじまき#1」の鑑賞、全員分書いていただきました。
いやー、もう、感激どころか感謝することさえ忘れるほど、すごいです。
百聞は一見にしかず。ぜひ、ブログをご訪問されることをお勧めします。

まるで一句を縦糸に、連としての三十句を横糸に織られた、織物のようです。ツイッターで、あの荻原裕幸さんが「ヤギモトすげえ!」とか叫んでしまうほど(笑)
で、わたしも叫びます。←負けず嫌い
ヤギモト、すげえ!!

御前田あなたさんもツイッターで次々と「川柳ねじまき#1」の作品を紹介してくださっています。
それがフォロワーのすべてに行き渡り、いいなと思ってくれた人が拡散してくれる。
川柳がこんなに日のあたる場所に出てしまっていいのだろうかと若干不安になったり。これは川柳書きのサガかしら?

ともあれ、感謝、感謝の数日間でありました。
柳本さん、御前田さん、引き続き、ずっと感謝いたします。
(だから、現在形で)ありがとうございます!

書きたいことはあるのですが、きょうはちょっと時間切れ。
メンバーを代表して、とりあえず謝辞を。


by nakahara-r | 2014-08-09 23:46 | 川柳