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音楽になりたい紫陽花の青と

梅雨の晴れ間。
岐阜市から北へ30キロほどのところに鮎で有名な板取川がある。

その板取川に沿って山道をゆくと、そこはあじさい街道。
えんえんと青い花がつづく。

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山側の崖にも、川側の崖にも
わんさとあじさい。
てんこもり。
この青はこの世でいちばん好きないろ。

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ほーっと見とれていると、あじさい園の主とおぼしきおばちゃんがやってきて
「これ、持ってってええよ」といいつつ、枝をばきばき折り始め、
両手に抱えきれないくらいの花枝を差し出される。

えー。
い、いいの?
ええの、ええの。こんなたくさんあるんやで。
あたしら、ここに50年もおるんだで、だあれももんくいえんわな。

ありがたくいただいて帰り、実家のご近所さんにおすそ分けした。
あちこちの家のどこかで、あの青がしずかに息づいていることを思う。
by nakahara-r | 2012-06-30 01:41 | フォト日記

ベランダものがたり

脱走癖のついたうさぎのため、ベランダのお隣との境に金網を張っていたら、至近距離で小鳥の声がする。
ふりむくと、すずめよりひとまわり大きめの小鳥だった。
ベランダの手すりをよちよち歩いて、飛ぼうかどうしようか迷っているもよう。
何度か飛び立つそぶりをしながら、寸前でとどまり、最終的にオリーブの枝にとまった。
もう日が落ちてうすぐらくなりかけている時間だった。帰りそびれたのだろうか。

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細くってふわふわしなるオリーブの枝にまあるくなってとまったまま。
あけがたまでいた。
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ひととうさぎのつきあいかたや、
ひとと鳥のつきあいかたや、
ひととひととのつきあいかた。
あいするには相手を尊重しなければならず
ほんきで尊重するにはけっこうなちからがひつよう。
by nakahara-r | 2012-06-10 00:43 | フォト日記

川柳ステーション2012(後日)

カミングアウトするが、わたしはへたれである。
いきなり(笑)
だれも信じてくれないかもしれないけど、人前に立つときんちょーのあまり、からだのどこかがぷるぷる震える。多少、場慣れしたこともあって、トークではあまりそういうこともなくなったけど、披講は別である。
たぶん、ひとさまの作品を読むということが、自分の責任においてしゃべることよりも緊張を促すのだと思う。自分のものではない作品を、その作品の生まれ出たときの鮮度そのままに、わたし個人の色や匂いをつけないで伝えなければならないと思うからである。と、自分に都合よくかっこよく分析してみる。が、じつはただの言い訳だったりする(笑)
今回も読み上げた句箋を脇取りのひとに渡すとき、手がぷるぷる震えて困ったのでした。


そんなへたれのわたしは、へたれな表現者がすき。朔太郎よりも中也である(並べるか?そこ)そして芥川よりも太宰である。
仕事を終えて、深夜、八戸から駆けつけてくれた笹田かなえさんと、おかじょうき代表のむさしさんと、なおちゃんと、Sinくんの車でいつか行きたいと思っていた斜陽館につれていってもらう。標識を見かけるたびに「じゅうさんこ」とか「ごしょがわら」とか読み上げずにはいられないのはわたしだけかと思ったら、なおちゃんも同様の病だったらしく、Sinくんに「いちいち声に出す?」と笑われる。
田植えが終わってうつくしい浅緑になった水田や、遠くにみえる山々をうっとり眺めていると、助手席のむさしさんが「左見て、左」と言う。あ、どこどこ?と見当違いのところを探すわたし。あー、馬だ。というなおちゃん。
うー、見逃したー。かくして人生のちっちゃな損は積み上がってゆく。


朝、ホテルを出たときには曇っていた。かなえさんは「私がいるからぜったい晴れる!」と言い切る。
なんておとこまえ。
と、宣言どおりにいつしか晴れたのでした。
おとこまえじゃなくて、巫女かもしれないね。なんかかなえさんにはそんな雰囲気がある。

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太宰治、本名、津嶋修治。ちっこい修ちゃんが裸足でぺたぺた歩いたかもしれない、ひんやりした檜だかヒバだかの高級木材でできた廊下を、恐れ多くも裸足で(サンダルだったから靴下はいてなかったんだもん)ぺたぺた歩く。
かなえさんもなおちゃんも「きっと、ちっこい修ちゃんがさわったよね」と、壁や柱にさわってる。
館内にいるあいだ中、ちっこい修ちゃんのまぼろしが消えず、館を出てからもしばらく残像が残った。
津嶋のシマがヤマドリだったことも、家紋が鶴丸だったことも、お母様のタネさんが「夕子」と書くこともはじめて知った。


次は斜陽館と同じ五所川原にある立佞武多の館。
「たちねぶた」と聞いたとき、立ったまま寝てる豚?と、オヤジまるだしのことをいって、Sinくんの不興をかったことはないしょ。
いやー、圧倒的でした。
すごい迫力。
口をあんぐりあけたまま見上げる。
大きいということはただそれだけでえらいのだ。
写真撮るなんて考えすらもてずひたすら圧倒されて見上げ続ける。
どんなんかなあ、という方は笹田かなえさんのブログへどうぞ。
川柳日記「一の糸」


青森のねぶたは凱旋だから「らっせ、らっせ」と思い切りはじけるけど、五所川原のは出陣なので、背後に女神の姿があって、掛け声もしずかなんだとか。

立佞武多のスクリーン上映をみてるうちに、地元のふつーの人々のふつーの暮らしのなかで祭りというもののありようを思って、なんだかうるっときた。
こんなとこで泣くなんて、と思って横をみると、「な、なおちゃん、もしかして泣いてる?」

長いこといっしょに居すぎましたね、わたしたち。




そして、三内丸山遺跡へ。

ああ、この空間、だーいすきー。みわたすかぎり緑、緑、緑である。わたげの元気さもでかさもハンパない。いっそこのままこの草っぱらに住み着きたいと思ったことでした。
手つかずの(あるいは最小限度に人の手が入った)土や草や木がある場所にくると、がぜん、草と同化したくてたまらなくなる。
なにしろ前世はえのころ草だったので(意味不明)
で、づかづかと丈高く茂る草の中に踏み入って、寝転がる。
目を閉じる。
まぶたを通して強いひかりを感じる。
息をする。ふかく、ふかく。
草いきれ、遠くにきこえる人の声、風、葉ずれの音。
ちっぽけなわたしという生きものを、肉体という入れものごと受け入れてもらっているような、満ち足りた気持ちになる。

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じゅうぶん満足してごそごそ起き上がり、みんなが待つ方に戻ると、「綿毛だらけ」とかなえさんが笑いながら髪や背中を払ってくれるのだった。
そういうことされると惚れてしまうやろ。(と、こころのなかでつぶやく)

北の仲間たちのシャイな殻をまとった人懐っこさみたいなふんわり感は、わたしたちには想像もできないような過酷な冬を絶えてきた、強すぎない日差しや、木々の緑や、ふかふかした土にはぐくまれているせいだろうと思う。

あいしてるよ、土と草たち、北の風と大地。またきっとくるからね。


ともあれ、東北の旅は無事に終わり(帰りの新幹線のホームまちがえて、あやうく乗り遅れるとこだったことは別にして、しかもそれ、行きの新幹線でもやったし……)それぞれの日常がはじまる。
by nakahara-r | 2012-06-03 00:54 | 川柳

川柳ステーション2012(当日)

ありえない話はさておき、当日である。

川柳ステーションのトークテーマは「理系川柳と文系川柳」である。
そんな分類いままでしたことねーよ。という内心の声をむりやりねじ伏せ、でっちあげた(おいおい)のが以下のレジュメ。(らしき)とか(便宜上)とか、言い訳臭がぷんぷんしますね(笑)
提出句は「おかじょうき」の杉野十佐一賞の選者中心にあげた。提出句は自説を補強するため恣意的に選んでますが、なにか?



理系川柳らしき作品と、文系川柳らしき作品(便宜上)

A 理系川柳の特質

・ 方程式があるようにみえる
・ 化学反応を起こす
・ 世界観をゆるがすちからがある

B 文系川柳の特質

・ 背景にドラマがあるようにみえる
・ 映像を想像しやすい
・ 情感をゆさぶるちからがある

A 産声ですか秋の木曽川ですか/石田柊馬
B ドラえもんの青を探しにゆきませんか

A 軍艦の変なところが濡 れている/石部明
B 夕暮れの寺院のように貼る切手

A たいていのことはバナナでけりがつく/丸山進
B 生きてればティッシュをくれる人がいる

A 念のためフランス人形差し上げる/樋口由紀子
B 永遠に母と並んでジャムを煮る

A 晴れた日のこっぱみじんの黄色です/広瀬ちえみ
B オネショしたことなどみんな卵とじ


瀧村小奈生さんは書き手によって理系的、文系的とわかれるわけではなく、作品によってわかれるような気がするということをゆってた。瀧村さんとは似たような捉え方をしているという感触をもったが、矢本大雪さんは右脳と左脳のはなしから、理性でわからせるのが文系、感性で感じるのが理系だと分類されていて、そこまでは納得がいくものだったのだが、例に揚げられた作品の振り分け方が、わたしにはちと納得がゆかず、ほーと思いましたことです。これは「わからせる」と「感じさせる」という部分の捉えかたの違いではなかろうかと思う。
MCのSinくんに、コンセンサスがとれないまま話をすすめていいのかと質問をしたところ、「こうなるのは想定内です」と言われた。なかなかやるな、Sin。
ほとんどレジュメに書いたことを補足しただけだけど、作句の際のそれぞれのデメリットとしてA群の作品は類型を生みやすいがへたにマネすると危険。B群の作品はインパクトに欠ける分、見逃されやすい。というようなことをゆった。

詳細はおかじょうき誌上で発表されるので、興味のある方はどうぞ。
 




大会が始まるまで時間があったので、こなおちゃんと青森市内を探検した。
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往来のすごく目立つところにライラックの木が数本あった。今を盛りと咲いている。あんなにたわわのライラックを見たのははじめてだった。わっさわっさ揺れてるんだもん。東海あたりのはもっとうんとしょぼい(ような気がする)ある程度の寒さが必要な花なのかもしれない。
ひんやりとつめたい持ち重りのする房に顔をうずめて匂いをかぐ。
清潔で高貴で凛とした香りがして、なんだかしらないが負けた感がした。いや、けして勝とうなんて思ってもいないんだけどさ、なんかくやしい気のする香りだった。ああ、そだそだ。紫の(限定かよ)ヒヤシンスの香りに似てる。
それにしても青森は北国なんだといまさらながら思う。東海地方より一ヶ月以上は花々が遅い。


海と思われる方向にぶらぶら歩いてゆくと青い海の公園に出た。
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赤い糸の像というのを見つける。太宰とその弟との会話に出てくる、あの赤い糸のお話を像にしたものである。
当初は赤かったと思われる茶色のリボンが男の子と女の子のくるぶしをがんじがらめにしている。
なおちゃんが「むすばれてるんじゃなくて束縛されてるみたい」という。まさに。

海がきらきら輝いてうつくしい日だった。
手のとどくところに北海道がある。
by nakahara-r | 2012-06-02 10:29 | 川柳

川柳ステーション2012(前日)

青森で開催される、おかじょうき川柳社の「川柳ステーション2012」のため、
同じくパネラーの瀧村小奈生ちゃんと名古屋を出発。
波乱万丈の旅のはじまりである。
ありえないと思うことが起きたのは東北新幹線の終点新青森から、在来線のこれも終点の青森駅までのたった一区間。
本来ならば5分で着く距離である。

新青森から在来線のホームに移動したとき、ホームには特急が止まっていた。「青森まで乗車のお客様は特急料金は要りません」というアナウンスをきいて、特急の車両に乗り込んだのだった。

ここで、すぐに扉が閉まって発車してくれてさえいたら、あんなことはおこらなかったのに、とJRに責任転嫁してみる。

扉はすぐには閉まらず、ホームの反対側に普通列車が入ってきた。

「あ、なおちゃん、やっぱあっちに乗ろう」と特急を降りるわたし。
魔がさしたのだ、きっと。
「うん、まあ特急乗り飽きましたし、途中の駅も見られていいかも」となおちゃん。
(この時点ですでにこの会話はおかしい、途中の駅って、一区間だし)
「でもへんだねえ、なんで特急と普通が同じ時間に出るんだろうね」と、案内版を見上げるわたし。
「うん、なんでみんな特急に乗らないんだろう」「だよねー。」と、ノー天気なわたし。
「あ、青森よりもっと先に行くひともいるからか、弘前行きだし」
とひとり納得するなおちゃん。
「あ、そっかー」とあくまでもノー天気なわたし。
(だから、青森終点なんだって、先はないよ、つか、先があること事態がおかしいと気づけよ)
と、いまの時点でならば、わかる。

青森と弘前の位置関係がいまいちあたまに入っていないふたりは、意気揚々と普通に乗り込み、普通電車はフツーに発車した。
青森の話をしながら「おー、まださつきが満開だー」とか「わー、ライラック花盛りだよー」とか、窓の景色をみながらはしゃいでると、「あの、青森へ行かれるんですか?」とアラフォーと見受けられる、ちょいイケメンの男性に声をかけられる。
ナ、ナンパ?と、おもいっきりつけあがるわたし(うそ)
「この電車、青森行きませんよ、弘前行きですから。青森はあっち」としずかに反対方向を指差すのだった。

えー!!
う、うそ……。

「ど、どうすれば?」と、爽やかな笑顔の男性に訊くふたり。
「次で降りて反対方向のに乗ってください」と、あくまでも親切な男性。
おっしゃるとおり。その他の解決法などありませんです、はい。
そうこうするうちに次の駅に着き、降りようとするも、ドアが開かない。
ド、ドア開かない!!とパニクるふたり。
すると背後から誰かの手が伸びてきて、ドアの横についた押しボタンを押してくれた。
しゅ、手動なのか!

えー!!

と思うまもなく、あわててホームに飛び降りると、そこは「津軽新城」という駅で、青森行きが出るのはその30分後のことである。
駅まで迎えにきてくれていたむさしさんを30分も待たすはめになったのであった。


ありえない。

(つづく)
by nakahara-r | 2012-06-01 00:23 | 川柳