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晴れときどき曇り 息をする空と

短歌:村上きわみ
文:なかはられいこ


いきもののももいろのにく湯のなかにほぐれてひらく(お会いしましょう)  
村上きわみ






ねえ、ねえ、稲の切り株ふんだことある?
ほら、あの剣山みたいになってるの。


「うん、あるよ」


いま踏みたいものは
稲の切り株
霜柱
湿った苔
ほこほこした日向の土

足の裏が恋しがってる


「踏んでいいよ」

と、投げ出されたからだを
踏む。
そろそろとじょじょに
体重をかけながら。


うすいひふ
とくとく脈打つ血管
縦にはしるきんにく
並走する腱
やわらかいにく
その下にあるほね



恋しがる足の裏があたたまると
「恋しい」はオレンジ色のちいさなひかりの球になって
ゆっくりと足を這い上がり背骨を伝って
後頭部にたどりつき
ゆるやかに膨張する

あたまのなかにオレンジ色のひかりが満ちて
わたしはなつかしさのあまり泣きそうになる



とうとう会えましたね







晴れときどき曇り 息をする空と     なかはられいこ
by nakahara-r | 2005-03-15 11:23 | きりんの脱臼(短編)