カテゴリ:川柳作品( 6 )

『鹿首』Vol.7 ははとははのはは20句 2015.3

ひっぱればほどけるははとははのはは

ほがらかにちちと発音する氷

おとうとは結露するため立ち上がる

いもうとのため息パプアニューギニア

鳥がいる家族写真の背景に

ローソンの青に次々ゴールする

靴下を裏返すたび蜃気楼

お別れの儀式のように干すシーツ

胸中のほていあおいをどうしましょ

ワイパーの稼働領域内家族

家中のほこりがみんなもらい泣き

母の櫛父の時計に変わる猫

箪笥からいつもはみ出す伯母の足

母笑う鳩や汽笛をこぼしつつ

発熱の前夜みたいなおじいちゃん

玄関に寄せては返す歯形かな

ご家庭のどこにでもある活断層

あいさつか冬の花火かわからない

冒頭が鶏頭だからやりなおし

まぼろしの家族のための夜を縫う

by nakahara-r | 2015-03-02 12:56 | 川柳作品

週刊俳句 2015-02-22 「テーマなんてない」10句

約束を匂いにすればヒヤシンス

どこまでも続く線路とキャベツを刻む

緑と白の境が葱のなきどころ

うがいするまだらな音を出しながら

水滴がさんずいへんで飛んでくる

おふとんも雲南省も二つ折り

パレードはいま食道を通過する

踵から頭のてっぺんまでギニア

F2を押すと液晶身もだえす

こいびととつくる夜の中の夜

by nakahara-r | 2015-02-02 22:48 | 川柳作品

週刊俳句 柳×俳 7×7 2007.8

週刊俳句 柳×俳 7×7

二秒後の空と犬

ち ゅ う ご く と 鳴 く 鳥 が い る み ぞ お ち に

空 と 犬 と ち く わ が 好 き な ぼ く の 女 神

い ま 視 野 を か す め て い っ た も の が 愛

二 秒 後 の ワ タ シ に 水 の 輪 が 届 く

母 さ ん は す で に こ こ ま で 紅 し ょ う が

隙 あ ら ば ふ た り で つ く る ふ か み ど り

や く そ く の 木 綿 豆 腐 を 持 っ た ま ま

by nakahara-r | 2007-08-22 21:38 | 川柳作品

WE ARE! 3号 2001.12.24

2001.09.11


ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ


炎(息が)黒煙(できない)青い空

落下する、ひと、かみ、がらす、コップを倒す

ぐんにゃりと歪む鉄骨ひとの骨

あついさむい衛星放送だ 寒い

フレームの外に飛び出すお月さま

ゆびのすきまはさみのすきまかみさまは

★  ★  ★

USA、USA、と秋の蝉

プルトップ開ける溢れる星条旗

テディベアの手足をもぐの正義なの

報復とつぶやいてみる酢の匂い

戦争がゼリーの中にしのびこむ

CDにたたらたたらと銃の音

ここも戦場 夜光塗料を塗りあおう

沈痛な野菜ジュースのトマトです

花びらの虫を殺しました、きのう

原潜が喉いっぱいにこみあげる

海を描く海と書く 届きますように

ほんの銀河のほんの地球の日本人

三本足の猫が降らせている雪です




by nakahara-r | 2006-12-24 13:52 | 川柳作品

WE ARE! 2号 2001.8.20

BLUEBERRY DAY'S



バス待っているの点滅しているの


このバスはキングギドラのしっぽ行き

夕焼けのポストは蟹でいっぱいだ

てきとうにイカレた並木ぼくたちは

改行、(笑)、改行(笑)、そして街

ベルを押す鳩のルールにしたがって

サイレンの跡が残っているベンチ

睡蓮の時間へ象はまっしぐら

ほしいほしいナイフに映るものぜんぶ

鍵盤のどこかに一角獣の角

星空は着信音でできている


過呼吸の、か、か、過呼吸の、鳥/霧/光


0になったり9になったりする沼だ

一回死んで百回生まれる五月のポプラ

切り捨てた髪に夜景がやってくる

脱げそうな靴下のまま並びましょ

きのうまで群青だったおともだち

鉄棒に片足かけるとき無敵

きんぎょ降る空をあげよう よいこには

はつなつをくぐり抜ければきりん組


by nakahara-r | 2006-08-20 13:33 | 川柳作品

WE ARE! 創刊号 2001.4.10

ビーズの指輪



水仙の茎を詰め込む みんな朝

二の腕を噛んで咲かせる桃の花

ドアノブに雌雄があって雪匂う

ふるさとのいたるところの杏仁豆腐

パンくずと未必の故意が落ちている

梟でいっぱいだから開かない

<さみしい>が跳ねる自転車のかごで

<かなしい>が団体で来る囲まれる

さいごまで黒い皮手袋だった

よい日です矢車草の青みたい

初雪やたたむと皺になるお家

「あ」と言ったまま梨の花こぼす

プラグが抜けて熱帯雨林ねったいうりん

煮崩れるおいもだいこん電話ください

おいでおいでする三日月も柊も

目印にされてしまった欅の木

机から手が出て線を引いている

えんえんとたまねぎの皮を剥く「ギルティ」

川の地図開くと甘くなる空気

階段をのぼる冬虹引きずって

by nakahara-r | 2006-04-10 13:22 | 川柳作品