カテゴリ:川柳( 99 )

お知らせ

なかなかブログモードになれない日々が続いています。
おかじょうきの「杉野十佐一賞」とか、
いただいている川柳誌とか、
書きたいことはいっぱいあるのですが、ぼちぼち行きますね。

まずは、お知らせです。


第79回新春川柳大会(詳細はこちら


◎日 時   平成27年1月18日(日)
       受付開始 午前9時~
       席題発表 午前10時
◎会 場   弘前プリンスホテル
      (〒036-8002 弘前市駅前1-3-4 弘前駅より徒歩3分)
◎会 費  4、000円


◎講 演  なかはられいこ「川柳の生まれるところ -読者を探せ」

◇宿 題(5題、2人共選。各題2句吟)
 ・「ダメダメ」  北山まみどり、(?)共選
 ・「撫でる」   笹田かなえ、長谷川酔月 共選
 ・「缶」     工藤青夏、渡辺松風 共選
 ・「羊」     佐藤古拙、佐々木文子 共選
 ・自由吟     なかはられいこ 単独選

◇席 題(2題、2人共選。各題2句吟)
 野沢省悟、佐々木 共選
 むさし、沢田百合子 共選

◇我洲杯(1題、5人共選。1句吟)
 ・「匙」     斉藤綺羅、工藤まさひろ、まきこ、野口一滴、大石一粋

【問い合わせ】弘前川柳社・千島鉄男(電話0172-34-3392)

講演と言われていまさらながらびびってる、なかはらです。

いや、タイトルは勢いでつけただけなので。



旧年中にいただいていたのに、もんのすごく遅くなってしまいました。

上井とまとさんの「やねうら」最終回です。

とまとさん、最後までありがとうございました。






by nakahara-r | 2015-01-13 21:02 | 川柳

プロムナード現代短歌

盛況のうちに終了しました。

壇上にあがるといつも思うこと(はやく降りたい)
楽屋でパネラーのみなさんとお昼を食べながら、楽しい会話(加藤治郎さんが小学生の女の子に席を譲られたとか。穂村さん談)をしながら、記念日ですねーとか言い合ったり、佐藤文香さんと飛騨牛について語り合ったりして、リラックスしすぎていたので、30分後には壇上、という意識がとんでました。

わたしが出たのは第一部ですが、レジュメつくるときから、なぜかジャンル論になるとはあんまり思ってなくて、途中で、あ、そうか。と思ったわけです。
いや、そうだよね。すこし考えれば、短歌、俳句、川柳の3人でほかに何を語り合うのか、ですよね。
でも、なんとなく、いまさら感があったのは事実で、巷間認識されている川柳と、わたしやわたしの周りのひとたちがいま、書いている川柳の違いっていうのは、「あの場」では共有されているものだと、なぜか思い込んでいて、そう思い込んでしまったのはわたしがラエティティアという文芸メーリングリスト(加藤治郎、穂村弘、荻原裕幸の3人が立ち上げた)の記憶をひきずっていて、しかも荻原さんが司会という状況もあって、場というものを読み違えていたからかもしれません。
島田さんのレジュメはまさに、そこ、つっこんでください的な匂いをぷんぷんさせていたのにね。
という、一人反省会を電車のなかでしながら、雨の岐阜に帰りました。

まさに、イベントというのは生きものだなあと思います。

第二部は、司会が斉藤斎藤、パネラーは加藤治郎、穂村弘、荻原裕幸、という豪華なキャスティング。
余談だけど、斉藤斎藤さん(いつだって坊主あたま)に、穂村さんが「ねえ、他の髪型だったときってあるの?」としつこくきいていて、ほむほむはいつだってどこだってほむほむだと思ったことでした

ツイッターで話題になった、短歌の某新人賞の受賞作について。
父への挽歌である一連が受賞したが、実はその父は生きていて授賞式にも出席されたのだとか。そこで持ち上がったのが「虚構」の問題。
わたしは問題の一連を読んでいないのでなんともいえないけれど、選ぶ側としては治郎さんの考え方はとても誠実だと思った。加藤さんがいちばん言いたかったことは情報の開示というか伝達にタイムラグがあって、読者は3段階に分かれたことだったのだと思う。

受賞者が父の死が虚構であることを「受賞の言葉」である誌上では明かさず、地方新聞のインタビューで明かしたことによって(受賞者の名誉のために付け加えると、なんの意図もなく)年齢、性別、名前、父の死が虚構であることもすべてが白紙のままで読んだ選考委員、年齢、性別、名前を知って、父の死が虚構であることは知らないまま読んだ短歌研究誌の読者、父の死の虚構も含めたすべての情報を知って読んだ新聞の読者。そこがいちばんの問題だと。
加藤さんは虚構がすべてだめだとは言っていない。
3者の立場を変えて読んだとき、そりゃあ作品に対する印象は変わるわなとわたしは思う。

同じく選考委員のひとりであり、「手紙魔まみ」という虚構を書いた穂村さんが「ハッピーアイランド 」という原発事故を題材にした一連に対して「作者が福島のひとであってくれと祈った」という発言もまた胸に染みた。たとえば鹿児島の人が福島をハッピーアイランドと言ってしまうのは、ちょっとそれはダメでしょうと。
ならば、福島県内ならいいのか、では、何キロ圏内ならいいのかということになってしまう。と、つまるところは文体ではないかと。文体が虚構を担保するみたいな話だったけど、わたしにはそこのところは難しすぎて理解できなかった。

虚構がそれほど問題なのか、と川柳なんかやってると思うわけだけど、この新人賞が短歌の世界ではたいへんなステータスであり、歌集も出してもらえるという、ごほうびもある、マッチレースだからなのだった。今回の受賞者はまったく意図的ではなかったようだけど、意図的に加点を狙いにくる応募者もとうぜんいるわけで。
いやー、選考委員はたいへんだなあとしみじみ思った。

閑話休題。
穂村さんにいつまでも若いねーといったら、「ジャンルを背負ってないからね、ジャンルを背負うと治郎さんみたいに老けるよー。なかはらさんも背負っちゃだめだよー」といわれたけど、穂村さんだって間違いなく背負ってるよ、たぶん。と思いました。

あと、短歌のイベントで改めて知る荻原裕幸の、若い歌人さんたちの憧れと尊敬のまと的存在感みたいなもの。うわー、このひと、実はすごいひとなんだと、驚くわけですよ、いちいち。そんな人に荷物持たせたり、たばこ買いに行かせたり、缶コーヒーのプルトップ開けさせたり、さみしいから相手しろと電話したりしてたのか、わたしは。と、なんか、申し訳なさで胸がいっぱいになるという。ごめんなさいごめんなさい。

終わったあと、世界の山ちゃんで、正岡さんが「父の死で10首、母の死で10首、姉の死で10首(新人賞は30首)書いときゃーだれだって虚構ってわかったのにねー」と言ってて、さすが!と思いました。

それよりなにより、奈良からわざわざ来てくれた上井とまとさんが、ふつーに世界の山ちゃんにいて、ものすごく楽しそうに、しかもリラックスしてて、誘ってよかったかなと心配したのがばっかみたいなくらい、うれしかったです。

というわけで、つづき。









by nakahara-r | 2014-12-01 21:55 | 川柳

川柳びわこ

川柳「びわこ」2014、10月号より

「びわこ」はびわこ番傘川柳会発行、徳永政二編集の月刊誌です。
会員(であろうと思われる)作品10句が、いきなり表紙に掲載されていて、ちょっとびっくり。
で、その表紙の10句がとてもよくて、もういちどびっくり。
3句だけ引いてみます。

押さえてもチリンと鳴ってしまう水/北村幸子
たっぷりと笑った母はたたみやすい
秋を待つ 耳を浮かべるようにして

おもしろーい。
そして中身(?)である誌面にうつります。

「びわこ近詠」という会員作品から

しがみつく物をカタログから選ぶ/北村幸子
まだ今はそこが唇なんですね/北村幸子 

寡聞にして存じ上げないかたなんですけど、それはわたしの活動範囲の狭さに負うところ大です。ちからのあるかたなんだろうと思います。
なかはら的には今回、この作者に出会えたことが最大の収穫でした。
表紙の10句も近詠(こちらは選を経た6句)もとても好きなタイプの作品です。
どこが好きかと言えば、文体に無理がないところ。
過剰さがないのにセンスオブワンダーなところ。
思いがけない方向からことばがやってくるタイプの作品には、ガツンと殴られるようなところがあって、その暴力的なパワーもきらいではないんですが、北村作品には暴力的なところがまったくなくて、<思いがけなさ>がじわじわ来る、もしくは気がつけばすぐ横に<思いがけなさ>がいる、みたいな。しかもかすかにほほえみを浮かべながら。感覚的にはそんなかんじです。
わかりますかねー、わかりませんよね。
好きを説明するのってやっぱしむつかしいですね。
もうすこしうまく言えるようになるまで、引き続き考えます。

そのほか、気になった句(というか、好きな句) 
甘鯛の顔と同じ方を向く/峯裕見子
つまみ出すザルに残っている人を/峯裕見子
木の高さまではと思う九月を思う/徳永政二
竹ぼうきなのでひとりごとなので/徳永政二
私の胃国家戦略上にある/竹井紫乙
嘘ついたあたりが沼になっている/平井美智子
秋の墓 報告しないことがある/深川さゑ
誰かには伝わるように砕け散る/重森恒雄
体内に鉄砲水のある間/平賀胤壽
美しい沈黙ふるえたりしない/徳田孝子
もう蝉が鳴きませんなあ空の色/笠川嘉一


もみじがり。山に行ってきました。
去年の紅葉は炎暑のために葉っぱが焼けてしまったらしくイマイチでした。そのうえあっという間に終わっちゃいましたしね。
今年は去年の分まできれいです。
スマホの写真なのでちょっと残念なところはありますが。
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緑が混ざっていると、これもまた豪奢で美しいですね。
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さいごに、きょうのまりん。
おんなのこなのに、なんだか王者の風格。
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で、寝ます。
もちろんです。

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(つまんないので、あたまのあたりをカキカキして起こしてみる。)
にゃーによぅ? ほっといてくれにゃい? 
(右まえあし一本で押し出されました、飼い主の負け)
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by nakahara-r | 2014-11-12 02:12 | 川柳

おかじょうき10月号

手元にあるもの、順番に読ませていただいております。

ではまず「おかじょうき」10月号より
「川柳ステーション2014」のパネルディスカッションが掲載されています。
テーマは「破調の品格」。テープ起こし大変だろうなと、毎回思いますというのはまた別のお話。個人的には定型至上主義ではないけれど、定型の恩恵というものはありがたく享受させていただかねば損、というのは思います。音読して気持ちよくないものはだめかな。

過ぎた日のどこを切っても鰯雲 熊谷冬鼓
「鰯雲」いいですねえ。
過去の記憶の背景にあったのは、入道雲であり、うろこ雲であり、茜雲であり、雷雲であったはずなのだ。鰯雲ばっかりなんてことなありえない。
だけど、いやなこともいいことも、忘れたいことも忘れたくないことも「過ぎた日」というフォルダーに振り分けられたとき、みんな鰯雲みたいなものになるということなんでしょう。
吸い込まれそうな深い青に浮かぶ白い雲のかけら、すがすがしくてすき。

やまとことばでくちびるをふさぎきる Sin
このひらがな書きはエロいです。「ま」「ば」「る」「る」の小さい○のせいか、文字がくねりながらせまってくるような。ついでに壁ドンくるか?

擬態するせめて茶漬けの海苔らしく 月波与生
海苔! しかも茶漬けの。
実際は鮭とか、梅とか、しぐれとかに擬態したかったんだが。ってことですよね。
そもそも「擬態する」対象として「茶漬け」ってところがツッコミどころ。
その上「海苔」。マトリョーシカのようにツッコミどころが現れます。
でもよくよく考えてみれば、茶漬けの海苔ってけっこう重要ポストなのではないだろうか。と、思ってしまったらまたマトリョーシカ。

「ざけんじゃねーよ」と星を撒き散らす 奈良一艘
多くは語りますまい。一読おもしろければいのではないかと思ったしだい。
「星」一点に賭けて勝った、一句。

ここまでをくちゃっとまるめ舟を呼ぶ 守田啓子
今回の一押し。
「くちゃっと」がめっちゃいい。反古を丸めて捨てるときの紙の感触を、手のひらが思い出す。でも捨てないんですよね、それ。丸めるだけで。そこもいいけど、いちばんは「舟を呼ぶ」ですね。船では大きすぎて呼べないってこともありますが、「舟」という語が持っている<渡す/渡るもの>というイメージがいいなと思います。前向きとか、けなげとか、自立とか、なんかあんまり好きじゃない言葉でしか言えなくて困るんですが、膝についた砂をはらって立ち上がるみたいな、気持ちの立て直し方の鮮やかさとでも言えばいいのか、そんなふうに思いました。

早合点している子規の内宇宙 柳本々々
「SOUTAI」を宣戦と取る異星人
から始まる「早」の頭韻5句。
これはもしかして終刊に参加された『So』へのオマージュではないか、
などと深読みしてみるのも楽しいですね。
掲句の「早合点している子規」はうざったさ50%、かわいさ20%、せつなさ20%、あとの10%に子規という伝説の人物へのいわくいいがたい何かがあります。
たぶん読み手によって違う何か。その何かを引きずり出すのが「内宇宙」ということばなんではないでしょうか。根岸の小さな家の小さな庭に咲く鶏頭のことなどを思いました。


by nakahara-r | 2014-11-05 21:26 | 川柳

どもほるんりんくると坂道を登る

やっと脱稿しました。
10月の後半は締め切りが3つ重なるというドタバタな状況でして。
しかもその間にねじまき吟行もあったりして、なかなか更新ができませんでした。
けして事故とか事件とかではございませんのでご安心ください。
各方面にご心配おかけして申し訳ありませんでした。


で、写真はねじまき吟行in瀬戸で撮ったもの。
「窯垣の小径」というところ。
陶器を塗りこめた窯元の壁です。幾何学模様が美しい。
吟行の結果は 月刊★ねじまきにUPされています。
ちなみにタイトルはねじまき吟行の一句でした。
なおちゃん、ありがとー。

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上井さんが続きをUPしてくださってます。
『やねうら #35』 <ここに来てきみ葉桜にならないか> 上井とまと × なかはられいこ(川柳作家)

上井とまとさんとお話していてものすごく楽しかったのは、不思議に思ったり、面白いと思うものが似てるからですかね。
もし上井さんが川柳書いたら脅威だな。



おかじょうきやら、おもしろせんりゅうやら、たるとやら、いっぱい溜まってて、書きたいことはいっぱいあるのですが。

きょうは、生存報告まで。


by nakahara-r | 2014-10-29 23:29 | 川柳

口からEnterあ、あ、あ、秋が洩れてる

タイトルは旧作。


御前田あなたさんのブログいつだって最終回で作品をとりあげていただきました。
非常口の緑の人。なんと、オクタビオ・パスだよ!
わたしは御前田さんのツイートをすべてお気に入りに入れたいくらい、大ファンなのでうれしさ300メートルなんですが、大通りで言うのが恥ずかしいので自分ちでこっそりつぶやいとくのでした。

これはなんだかこいに似ている。(おいっ!)
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まだ咲いてたひまわり。
さすがに伸びられなかったらしく背は低い。

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うしろはすっかり秋なのにね。
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「杜人」2014秋号には、編集の広瀬ちえみさんの「編集人の気持ち」というすごくいい文章が掲載されている。10年間の編集の仕事を通じて、起きたできごととその時々の気持ちをなんの飾り気もなく書かれている。

広瀬ちえみを知ってるひとにも、広瀬ちえみを知らないひとにも読んでほしい一文。「杜人」への愛があふれた文章を読んで、結社という器が持っている不思議に大きなちからのことを思わずにはいられない。

Tシャツに手を振るひとが描いてある 広瀬ちえみ



以下、私事ちゅうの私事なので、基本、小声

写真はひとのベッドでしか眠れないねこ。
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(るろうに剣心みてきた。京都編と完結編、二本続けて)

(役者さんたちのアクションさいこー。ほれてまうやろ!)

(なんですと! スタントもCGも早回しも使ってないですと!)

(タケルくんの身体能力、どうなってんの? ほんとに人なの? 猫なの?
つうくらい動きが早い。しかも的確)

(ハリウッドよ、これが日本映画のアクションだ! と言ってやりたい)

5時間、一瞬たりとも目が離せませんでした。


飼い主、おそい!
まちくたびれたにゃん。
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by nakahara-r | 2014-10-12 15:06 | 川柳

よく振ってあなたに返す秋の海

タイトルは旧作です。
秋の海といえばトワエモア。
といってわかってくれるのは何歳ぐらいまでかしらん。


柳本々々さんのあとがき全集。
ビルがく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ をとりあげていただきました。
柳本さん、いつもほんとうにありがとうございます。

記事の中で「川柳でありながらも川柳にはなりきれず、短歌を志向しながらも短歌にもなりきれない〈はざま〉にうつろいつづける〈ことば〉としかいえないようななにかがあらわれてきます。」と、考察されていますが、このような視点で読んでいただいたのは、わたしが記憶する限り初めてではないかと思います。

記事に引用されていた、中良子編『災害の物語学』探して読んでみなければと思いました。災害の機会詠を書くことのむつかしさについて、ずっと考えていました。3.11のとき、わたしは「出来事の過剰」に押し流されて結局一句も書けなかった。書かなかったのではなく、書けなかった。書く/書かない、どちらを選ぶにせよ自覚的でありたいものです。


今月の「東海柳壇」。
コメントを書いたのは以下の5句。

段違い平行棒のような日々 西山和子

泡立ったままで閉店いたします 青砥和子

秋茄子の紺きっぱりと水はじく 中村まどか

障子貼る今日のわたしは印象派 安井紀代子

消しゴムがあるから何故か気が緩む 金沢市兵衛

「段違い平行棒」「泡立ったまま」「印象派」
喩の新鮮さが際立った作品が多くて楽しかったです。



その3です。

『やねうら #34』 <ダム湖には水がある>上井とまと × なかはられいこ(川柳作家)







by nakahara-r | 2014-10-09 23:55 | 川柳

きらきらとねこと夕陽と声である

「おかじょうき」9月号より

いいひとになるアンパンマンの右隣り  須藤しんのすけ
「では、左隣では「いいひと」にはなれないのか?」という読み手側からの疑問をあらかじめ想定した書き方ですね。最近はまっている白川静の『漢字百話』によると、古代の神事において、右という字の口の部分は<のりと>、左という字の工の部分は<呪具>であるとか。そういえば左大臣のほうが位が上なんですよね。で、この「右隣り」アンパンマンから見て、でしょうか? 向かって、でしょうか? など、いろいろ想像して楽しくなった作品でした。なんか、かわいらしいし。(って、さいごはそれかよ)

引き分けを挟んで本日も夏日  月波与生
夏日、夏日、引き分け、夏日、と続く日々。何と何が引き分けたのかわからない、というか、そこ並列にしますか? という意味でおかしい。
もしかして引き分けって「曇り」かな? いや、じゃ夏日は勝ち? 負け?

二の腕に少し残っている鱗  徳田ひろ子
前世は魚だったんですよ、わたし。ほら、ここに証拠が。みたいな句はおなかいっぱいなんですけど。でもね、鰯とか鯵とかの鱗をとっていると、とびますよね、鱗。それが二の腕にくっつくのはありがちなこと。そういった現実路線(?)にひょいと飛び移れるところ、ゆめゆめ路線だけではない、そこがいちばん好きです。

もうそこは水でわたしで注意報  ひとり静
「もうそこは水でわたしで/注意報」と切れていると読みました。水とわたしの境界があやふやになっていて、危ういのです。と、主体が覚醒しているところが好きです。酔っていたらヤなかんじの句になりがちなんですよ、こういうモチーフって。

手紙からダイナミックを取り出して  柳本々々
「ダイナミック」が名詞になってしまいました。しかも「取り出して」からどうしたのかが書かれていません。読み手はしおしおとなった手紙とともに取り残されます。そもそも手紙とは到来物です。かなたから届いたものが届けたかったのは、まさに「ダイナミック」だけだったのかもしれなくて。観客である読み手は「ダイナミック」の移動をただ見ていればいいのかもしれません。

ユニクロへ吹石一恵買いに行く  吉田州花
川柳と固有名詞は相性がいいと思います。まっさきにユニクロのジーンズを履いた吹石一恵を想像しました。この句の「吹石一恵」は「履けば吹石一恵のような足になれるユニクロのジーンズ」が省略されたものではないかと思ったのでした。すごい省略ですが、日常でもこういう言い換えするなあ、というところがいいなと。

山も木も私も空も蛾も海も  むさし
ぜんぜんそんな気はなかったのに、こうしてみると今回は並列がmy favoriteだったみたいです。「山、木、私、空、蛾、海」という語の並びに注目しました。だいたいこういうとき、「私」は最後にくることが多いです。そういう句をわたしは隠れ自己愛、とひそかに呼んでいます。この句のこの位置に「私」が配置されているのは森羅万象に取り囲まれている状況を顕しているのだと思いました。視線が遠くの山から近くの木へ、私へ、もう一度空に、近くを飛ぶ蛾に、蛾を追って海の方角へ動くのがわかります。「蛾」がすごくいいですね。「蝶」や「鳥」だと美しすぎてだいなし。

で、今月のいちおしは、この一句。
きらきらを二分茹でろと指示される 柳本々々
きらきら? 二分? 指示ってだれに?
いろんな?が湧き出てくるのですが、きらきらはきらきらのまま、二分は二分のまま、誰かの意味不明な指示に盲目的に従わねばならない、そんな壁に追い詰められた感が伝わってきます。ところで、きらきらって茹でるとぎらぎらになったりするんですかね。



ずっと以前にこのブログでもご紹介した上井とまとさんが、ラジオの音源をUPしてくださいました。
内容は前に書いたことがあるエピソードなんですが、前振りはだいじですね。
このあと、川柳の話もいっぱいしましたのです。
過去の自分とふたたびまみえることができる、というふしぎ。
自分以外のひとの耳には自分の声がこのように聞こえているのか、というふしぎ。



『やねうら #32』<本から音信がある>
上井とまと×なかはられいこ(川柳作家)







さいごにきょうのまりん。
夕陽なねこ、夕陽にねこ、夕陽のねこ、いや、夕陽とねこ。

秋でんな。
さんま焼け、飼い主。

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by nakahara-r | 2014-09-20 19:22 | 川柳

襖を閉めて

あざみエージェント発行の「あざみ通信」NO.13が届く。

毎回、誌面に載る読み物が楽しい。
でも、おお!と思ったのは、西郷かの女さんの句集『冬の陽炎』から抜粋された、この一句だった。

大叔母が襖を閉めてゆきました 西郷かの女

叔母でも祖母でもなく「大叔母」なんである。
この大叔母、どこへ「ゆきました」のだろう? 「行く」ではなく「ゆく」であるためになんだか現実離れした感じがする。そして二度と帰ってこないような気がする。大島弓子の『ダリアの帯』のお母さまが行った先とか、三島由紀夫の『豊饒の海』に出てくる蓼科の行動のあれこれを思ったりした。

「西郷かの女」という、ちょっと変わった雅号は、初心の頃からあちこちの川柳誌で目にしていた。
30年ほど前の女性の川柳には、時実新子の影響のせいか(どうかはわからないけど)、情念が書かれた句が多かった。西郷かの女もその中の一人だった。お亡くなりになっていたことは知らなかった。

亡弟よ地にも天にも二輪草
ちちははよ冬の蛍が舞って候
ほのぼのと灯る私の現在地

合掌。

あざみエージェントの出版事業を敬愛しつつも、倉本朝世の書く川柳の大ファンであるわたしとしては、じょうじき、書いてくれ、もういちど。と言いたい。

縫い針をかざせば空に通路あり 倉本朝世
手は鳥の夢見てお釣り間違える 同
この世から剥がれた膝がうつくしい 同

これらの句をなんどあたまのなかで反芻したことだろう。
真っ青な雲ひとつない空を見上げたとき、コンビにのレジで、地下鉄の座席で。


田口麦彦さんから『新現代川柳必携』(編者:田口麦彦)が届く。
『現代川柳必携』、『現代女流川柳鑑賞事典』、『現代川柳鑑賞事典』に続いて三省堂から出たシリーズ4冊目のアンソロジーである。
本著には5000句の川柳がテーマ別に収録されている。幅広い視野で編まれているので、川柳の入り口で戸惑っているひとに安心して差し出せる一冊。
ご注文は三省堂 のHPから。



ひさしぶりにきょうのまりん。
おひるねちゅう。

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カメラむけると目あくんですわ、これ。
モデルとしてのプロ意識?


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もっふもふです。
日に日に冬仕様になってまいりました。
我が秋はねこの毛からやってきます。

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by nakahara-r | 2014-09-13 23:35 | 川柳

週刊俳句

週刊俳句の2014年8月24日号は「柳×俳」の特集号。
俳人5人と柳人5人の10人で行った、柳俳合同誌上句会に参加しました。

自分以外のだれが参加しているのか、まったく知らされないまま、
投句し選句することは、ミステリートレインに乗ったような(乗ったことないけど)どきどき、わくわく感があって、とても楽しかったです。
選句結果も選評もおもしろいですよ。

必読です。

川柳と俳句。似ていて(五七五)、違うものが2つあってよかったですね。1つじゃあ、つまらなかったですよ。

こういうことを自然体で言えてしまう、
西原さんのしなやかさ、おおらかさに感動します。

ネットがあってよかった。




by nakahara-r | 2014-08-27 18:31 | 川柳