運命という名の糸こんにゃく

連休が終わりましたね。
おしなべてゴールデンなお天気でよかったです。
遠出もせず、かといって家にも籠れず、どっちつかずの休日をけっこう楽しみました。

とかゆってるうちに時は五月。すでに立夏です。
きょうは朝日カルチャーの「やさしい川柳」講座3回目でした。
「緑」もしくは、「みどり」あるいは、「ミドリ」で一句提出してもらい、一句ずつ鑑賞していくスタイルが定着しつつあって、質問も活発に出てくるので、わたし自身が楽ませてもらってます。感謝。

では、棚に積まれている柳誌から。
「川柳フェニックス」は丸山進さんの瀬戸の教室の会報誌。
丸山さんという指導者を通じて初めて川柳を知ることは、川柳との出会いとしてはとても幸運なことであると思います。
作品のなかに朝日新聞の「東海柳壇」の入選句が散見されるのもうれしいことでした。
一句ずつご紹介。

「川柳フェニックス」No.4 より

このままで挑発的な皿になる 安藤なみ
ストレスが頭に来たら上手投げ 松長 進
この道に私の好きな路地がある 稲垣康江
菓子折りが涼しい顔で頼みごと 安井紀代子
来るものは拒みませんと湾になる 三好光明
君待つ樹甘夏一つ揺れている 高田桂子
助手席でシートベルトをする西瓜 前田トクミ
お尻だけ皮を張るのを忘れてた 水谷克行
香ばしい男がひとり焼き上がり 高橋ひろこ
音姫と私トイレでする輪唱 田地尚子
内閣もパチンコ台も入れ替わる 北原おさ虫
無駄骨も納骨堂に安置され 太田昌宏
マックィーンに似た人がいて今日は晴れ 安藤香代子
今日の日はドの音かなと日曜日 平子久仁子
パンくずに群がるボラは就活中 岩佐正彦
傭兵の求人もある古本屋 深谷江利子
回遊魚くるくる寿司で失神す 坂下昭子
噴水に持ち上げられて落とされる 丸山進
世界はねこの世とあの世しかないの 丸山進


「びわこ」5月号より

今月の表紙は大西菊水さんの10句。
天衣無縫というか、無邪気というか、楽しい句群です。

純白のびっくり箱が開きました 大西菊水
あの赤の中へ体を埋めに行く 大西菊水
あの、その、この、という指示代名詞は危険物扱いなんですよ、私の中では。
安易に使うと思わせぶりな句になりやすいというか、さもしいかんじがするんですよね。
だけど、この句の「あの赤」は〈ぶり〉ではなくて〈思わせる赤〉だと思います。
あれ? 意味不明ですか? 意味不明ですよね。えと、がんばります。
「あの」と作者(話者)が指差した先に、読み手は(具体物であれば)夕陽とかトマトとかスイカとかを見てもいいし、もっと抽象的に赤い記憶を想起してもいい。思わず体を埋めに行きたくなるようなそんな記憶。
あぅ。なんか百恵ちゃんの赤いシリーズとか思い出してしまったではないですか。

今回いちばん好きだったのはこの句。

狭かったんですと糸こんにゃくは泣く 久保田紺
なんていじらしい糸こんにゃくでしょう。ごめんね、わたしかも。お弁当にぎゅうぎゅう詰めたことあります、すき焼きの残りの肉のかけらといっしょに。だって、そのための糸状でしょう? 〈糸こん〉なんて略して呼ばれることも含めて、うんめい、なんですよ、糸こんにゃくの。
久保田紺さんはこんな句も書かれています。
意志の及ばぬところで、あってはならぬことが起きる。それはたいへんだなあと思った次第(違っ)
スカートの中が光って困ります 久保田紺

by nakahara-r | 2015-05-07 22:19 | 川柳


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