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いとこでも甘納豆でもなく桜

タイトルは3月句会の雑詠でした。
ここ3日ほど寒いですが、春は確実に近づいてますね。
イベントの告知が目白押し。

川柳スープレックスで、柳本々々さんに「東海柳壇」の作品をとりあげていただきました。
ありがとうございます。
自分がいいなと思った作品をだれかもいいなと思ってくれる、というはすてきにうれしいことですね。
柳本さんの鑑賞でべつの味わい方、というが楽しみがうまれました。

同じ川柳スープレックスメンバーの飯島章友さんが「週刊俳句」412号の記事、
なかはらの作品をとりあげていただきました。
ありがとうございました。

*
では、遅くなりましたが読んだ本たちから。

「あざみ通信」NO.4より

約束が僕を静かな滝にする  大西俊和
いったいどんな約束なのでしょう。
那智とか白糸とか、ナイヤガラとか、さまざまな滝をいったんあたまのなかでミュートにしてみます。
音もなく落ちる大量の水。
なんとなく決意表明みたいなものを感じます。
男子だなーと。
17音しかない詩型で一人称を使用する場合、要、不要の選択は必至だと思っています。
そのてん、この「僕」は必要。

「あざみ通信」にはイベントのお知らせも掲載されています。
天野慶ちゃんと小池さんの対談は楽しそうですね。


「おかじょうき」3月号より

うちの(?)荻原裕幸さんが7月の川柳ステーション2015に出演、という告知が出ました。
ヒールに徹するらしいおぎーをご覧になりたい方はどうぞ。
(ちなみに某所では「背広悪魔」と呼ばれていたおぎーです)

初夏の青森、すてきですよ。
行きたいなあ、行こうかなあー。
7月4日(土)です。


一塁が空いているから象にする 田久保亜蘭
選抜高校野球が始まりました。そろそろプロ野球も開幕します。
タイムリーな作品なんですが、「象」って!
そこは敬遠でしょうがって、思わずツッコんでしまいました。
いやでも、内野手がマウンドに集まって「なあ、象にする?」「うん、一塁空いてるし、な」「わかった、象でいこう、象で」とかいう会話が交わされいるのかもしれず。
みんなグラブで口元隠して話してるでしょう、あれ、怪しいと思ってたんだ、じつは。

ヨブ記からトリコロールを取り戻す 月波与生
さっぱりわかりません。「ヨブ記」っていうのはヨブさんの話、程度の知識しかないわたしです。
たぶん「出エジプト記」のようなスペクタルな話ではなく、じみーな話なのでしょうな。白黒作品みたいな。
あ。だからトリコロール=カラーを取り戻すなのか(違っ)
ま、でも「ヨブ」が「呼ぶ」と重なることから「取り戻す」がごく自然に引っ張られてきたのではないかと思います。
フランスの国旗であれ、床屋のねじり棒のようなポールであれ、音として「トリコロール」と「取り」が重なっているところも読み手が立ち止まる要因なのかもしれません。

蛇になる覚悟はあるか茶素麺 奈良一艘
「ねえよ。」とつぶやいてしまいました、はい。
形状は似てますが、別物です。生き物と食べ物ですし。
とか、素麺の立場に立たされて言訳してしまうという、そんなふしぎなちからのある句です。
それはたぶん、「覚悟はあるか」と壁に追いつめられることの多い人生を送っている、わたしを含めた読み手の総意ではないかと。

壁ドンもできないくせにドラえもん 松木 秀
ですよねー。
壁ドンにはちからづよい手のひらが必須。
あのぐーしかできない手では、無理ですよねー。
「くせにドラえもん」ってところに、万能感あふれるドラえもんの本質(?)が見え隠れしています。
みんなでだまされていてあげてるだけなんだぜ、ドラえもん。
とはいえ、ドラえもんに壁ドンって必要か?
という、ドラえもん愛に満ちた句でもあるのではないかと思います。

両手首包まれる三月の霧に 守田啓子
ああ、もうそれは家事も仕事もなんにもできないですね。
手首から先が霧のなかにあって、目には見えない状況なのか、
もしくは両手首にじっとり冷たい手錠のようなものがある状況なのか。
ほら、どちらにしても作業はむりです。このくそ忙しい年度末に。
本格的に春になれば霧もしぜんに消えるんでしょうけど。3月ってそういう月じゃないでしょうか。

遠くから宗教的なキスをする 柳本々々
家族的と恋人的なキスの区別はできますが、宗教的って。
「ヨブ記」の句をひきずっていたので、旧約聖書的な、厳かで清々しいのを想像してしまいましたが、新興宗教的な、いかがわしい、あやしいかんじのものだって想像できますよね。
遠隔操作だし。いや、遠距離恋愛か。でもキスって近づかなければできないわけで。
地理的なものであれ、心情的なものであれ、「遠くから」というキスをするひととされるひとの距離感が、この句の要ではないでしょうか。
この文中にもいっぱい使いましたけど「○○的」って便利なことばなんですよね。
安易に使ってしまいがちな「的」のあやうさも提示されているのではないかと思います。
確信犯的に(笑)

まあいいじゃないかと笊が打ち寄せる 小野五郎
笊、です、ザル。波じゃなくて。
笊だから救えません。いや、掬えません。
そんなものに「まあいいじゃないか」って言われても。
文句なしにおもしろい句ですね。すきです、はい。
ちなみに、波に「まあいいじゃないか」と言われたとしたら、ムッとくるかもしれません。
だって、まあいいじゃないか、まあいいじゃないかって何度でも押してくるんですよ。
かんじわるー。とくに「まあ」のとこでイラッときませんか。
笊でよかった。

菜箸がセンターライン越えてくる 熊谷冬鼓
鍋、ですかね。
たとえば二人で鍋をつついてて、鍋奉行のひとが菜箸で鍋のなかをいじる。
「あ、そこ、こっちの領土」という線を越えて。一線を越えた菜箸、ですね。
越えたほうは全然気づいてなさげなところがまたなんとも。
こうゆう句って「菜箸」が喩なのか、「センターライン」が喩なのか、まず考えるんですけど、作り手としてわたしは「センターライン」が喩という解釈を採りました。
「菜箸」が喩でも、それはまたシュールな図になっておもしろいんですけどね。


おまけ。
いとこでも甘納豆でもなく桜_d0162614_0251615.jpg
ことしも大量にとってきました。
つくしはきんぴら、がうちの定番。
サラダ油に、香りづけのごま油で炒めて、砂糖と醤油とお酒で味つけしておわり。
白いごはんにあいます。
大きめのタッパーふたつぶんできました。


by nakahara-r | 2015-03-25 23:37 | 川柳

なかはられいこ 川柳と暮らす


by なかはられいこ
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