プロムナード現代短歌

盛況のうちに終了しました。

壇上にあがるといつも思うこと(はやく降りたい)
楽屋でパネラーのみなさんとお昼を食べながら、楽しい会話(加藤治郎さんが小学生の女の子に席を譲られたとか。穂村さん談)をしながら、記念日ですねーとか言い合ったり、佐藤文香さんと飛騨牛について語り合ったりして、リラックスしすぎていたので、30分後には壇上、という意識がとんでました。

わたしが出たのは第一部ですが、レジュメつくるときから、なぜかジャンル論になるとはあんまり思ってなくて、途中で、あ、そうか。と思ったわけです。
いや、そうだよね。すこし考えれば、短歌、俳句、川柳の3人でほかに何を語り合うのか、ですよね。
でも、なんとなく、いまさら感があったのは事実で、巷間認識されている川柳と、わたしやわたしの周りのひとたちがいま、書いている川柳の違いっていうのは、「あの場」では共有されているものだと、なぜか思い込んでいて、そう思い込んでしまったのはわたしがラエティティアという文芸メーリングリスト(加藤治郎、穂村弘、荻原裕幸の3人が立ち上げた)の記憶をひきずっていて、しかも荻原さんが司会という状況もあって、場というものを読み違えていたからかもしれません。
島田さんのレジュメはまさに、そこ、つっこんでください的な匂いをぷんぷんさせていたのにね。
という、一人反省会を電車のなかでしながら、雨の岐阜に帰りました。

まさに、イベントというのは生きものだなあと思います。

第二部は、司会が斉藤斎藤、パネラーは加藤治郎、穂村弘、荻原裕幸、という豪華なキャスティング。
余談だけど、斉藤斎藤さん(いつだって坊主あたま)に、穂村さんが「ねえ、他の髪型だったときってあるの?」としつこくきいていて、ほむほむはいつだってどこだってほむほむだと思ったことでした

ツイッターで話題になった、短歌の某新人賞の受賞作について。
父への挽歌である一連が受賞したが、実はその父は生きていて授賞式にも出席されたのだとか。そこで持ち上がったのが「虚構」の問題。
わたしは問題の一連を読んでいないのでなんともいえないけれど、選ぶ側としては治郎さんの考え方はとても誠実だと思った。加藤さんがいちばん言いたかったことは情報の開示というか伝達にタイムラグがあって、読者は3段階に分かれたことだったのだと思う。

受賞者が父の死が虚構であることを「受賞の言葉」である誌上では明かさず、地方新聞のインタビューで明かしたことによって(受賞者の名誉のために付け加えると、なんの意図もなく)年齢、性別、名前、父の死が虚構であることもすべてが白紙のままで読んだ選考委員、年齢、性別、名前を知って、父の死が虚構であることは知らないまま読んだ短歌研究誌の読者、父の死の虚構も含めたすべての情報を知って読んだ新聞の読者。そこがいちばんの問題だと。
加藤さんは虚構がすべてだめだとは言っていない。
3者の立場を変えて読んだとき、そりゃあ作品に対する印象は変わるわなとわたしは思う。

同じく選考委員のひとりであり、「手紙魔まみ」という虚構を書いた穂村さんが「ハッピーアイランド 」という原発事故を題材にした一連に対して「作者が福島のひとであってくれと祈った」という発言もまた胸に染みた。たとえば鹿児島の人が福島をハッピーアイランドと言ってしまうのは、ちょっとそれはダメでしょうと。
ならば、福島県内ならいいのか、では、何キロ圏内ならいいのかということになってしまう。と、つまるところは文体ではないかと。文体が虚構を担保するみたいな話だったけど、わたしにはそこのところは難しすぎて理解できなかった。

虚構がそれほど問題なのか、と川柳なんかやってると思うわけだけど、この新人賞が短歌の世界ではたいへんなステータスであり、歌集も出してもらえるという、ごほうびもある、マッチレースだからなのだった。今回の受賞者はまったく意図的ではなかったようだけど、意図的に加点を狙いにくる応募者もとうぜんいるわけで。
いやー、選考委員はたいへんだなあとしみじみ思った。

閑話休題。
穂村さんにいつまでも若いねーといったら、「ジャンルを背負ってないからね、ジャンルを背負うと治郎さんみたいに老けるよー。なかはらさんも背負っちゃだめだよー」といわれたけど、穂村さんだって間違いなく背負ってるよ、たぶん。と思いました。

あと、短歌のイベントで改めて知る荻原裕幸の、若い歌人さんたちの憧れと尊敬のまと的存在感みたいなもの。うわー、このひと、実はすごいひとなんだと、驚くわけですよ、いちいち。そんな人に荷物持たせたり、たばこ買いに行かせたり、缶コーヒーのプルトップ開けさせたり、さみしいから相手しろと電話したりしてたのか、わたしは。と、なんか、申し訳なさで胸がいっぱいになるという。ごめんなさいごめんなさい。

終わったあと、世界の山ちゃんで、正岡さんが「父の死で10首、母の死で10首、姉の死で10首(新人賞は30首)書いときゃーだれだって虚構ってわかったのにねー」と言ってて、さすが!と思いました。

それよりなにより、奈良からわざわざ来てくれた上井とまとさんが、ふつーに世界の山ちゃんにいて、ものすごく楽しそうに、しかもリラックスしてて、誘ってよかったかなと心配したのがばっかみたいなくらい、うれしかったです。

というわけで、つづき。









by nakahara-r | 2014-12-01 21:55 | 川柳


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