紙の上の句会、坂の上の句会

「おかじょうき」8月号より
今回は句会にこだわって読みました。

まず、誌上句会の特選句です。題は「雅」。
午後の廊下は蛇の抜け殻 そんな雨 笹田かなえ

ちょっとひんやりした、人の気配のない長い廊下、奥のほうまでひかりが届かないため、先はぼんやりしてる。そんなイメージが浮かびました。

「午後」「雨」「蛇」という語のつらなりで「冷、暗、静、長」という語が引き出されたのだと思います。どちらかと言えば暗くて妖しくて、うっかりすると情念に傾いてしまうところ、「抜け殻」のかさかさ感でほんのり薄らいでいるような気がします。
「そんな雨」の「そんな」が「午後の廊下は蛇の抜け殻」という措辞ぜんぶに掛かっていて、(ああ、なんだ、けっきょく雨のことしかゆってないじゃん)と気づかされておもしろかったです。
長いですよね、蛇だけに。

月例句会「屋」
リリアンの途中でミヤネ屋が怒る 月波与生

リリアン! とまずはびっくりして、「ミヤネ屋」でもういちどびっくりして、最後の「怒る」でみょーに納得しました。
ミヤネはいつも唐突に怒るという印象があって、平和にリリアン編んでる状況のひととしてはもう、怒ってるという、純粋な現象にしか意識がいかないのではないでしょうか。
で、そこでは「何に?」は置いていかれたままであるということを、再認識させられたのでした。

月例句会「安い」
笑顔笑顔笑顔笑顔(税込みで)柳本々々

スマイル0円ってやめたのかな、マック。(ちなみに関西ではマクドと言うらしいです)
4つ並んだ笑顔がカウンターに4人並んだおねえさんたちを思わせます。文字で映像が表現されていておもしろいです。
ちなみに、
えがおえが/おえがおえがお/(ぜいこみで)と、きっちり17音でもあります。
切断された二つ目の笑顔と、最後の(税込みで)に批評があって、カウンターのあっちとこっちに(税込みで)が浮遊している感覚になりました。

そのほか、印象に残った句。

ってな事でかたつむりに夕陽 奈良一艘
駄菓子屋の裏で緑青落としてる 守田啓子
インゲンぷらり 七百万の保証金 守田啓子
どもる服どもらない口どもる靴 柳本々々
群れを出る決意三色ボールペン 相田みつる
愛そうと思う吐き気が止まるまで 徳田ひろ子


ねじまき句会だったのでした。
雨ではないけど、どんより、じっとりしてる。
からだじゅうの水分が異様に重い。
浸透圧か。
と意味不明なことを思いながら、
名古屋駅から地下鉄に乗る。

「つぎはふしみー、ふしみー、つるまいせんはつぎのえきで」
とおなじみのアナウンスが流れる。
つるまいせんはつぎ。降車駅は東別院。
あ、あれ? 東別院はつるまいせんだっけ?
めいじょうせんだっけ?
栄だったよな、たしか。じゃ、めいじょうせんか。
つるまいが青でめいじょうが紫。
あれ、逆かな? どっちだっけ。

路線図のまえには背の高いおにいさんがいて、見えない。
スマホでぐぐる時間はない。
「ふしみー、ふしみー」
わ。着いちゃったよ、ふしみ。
降りるか、いや、栄だって、たしか。
えーい、ここは賭けよう。栄だ、降りない。

というわけで、みごとに賭けに勝つ。

句会後はコメダに拒否られ、上海語の飛び交う店へ。
桐子さんがアルコールに強いことは知っていた。
そのうえ辛いものにも強いことをきょう、知った。
無双やん。
どちらにもめっちゃ弱いわたしは、敵には回したくないなと、ひそかに思う、
のだった。(来月の句会につづく)


by nakahara-r | 2014-08-18 21:08 | 川柳


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