2012年 07月 05日
朝日新聞 東海柳壇
選と評を担当させていただいてから、はや二年と二ヶ月が過ぎた。
毎回、投句してくださる常連さんもいれば、初めての投句です、と書かれたはがきも届く。
初めて投句してくださる人のなかには、初めて川柳を作りました。という一文もあって、うれしい限りではあるが、緊張もする。
その方にとって、初めての川柳の窓口がわたしであるということに、責任を感じるのだ。
だがしかし、上手いひとはさいしょから上手いので、畢竟、同じ作者を何度も選んでしまうことになる。
結果、泣く泣く掲載をあきらめざるをえない作品もたくさんある。
ほんとうは個々の作者のかたがたに、ここが惜しいということをお伝えしたくは思っても、どうにもできない。
なんだかはがゆいけれど、五度や六度、もしくは十度、掲載されなくても、諦めずに書き続けてほしいと思う。
今回評を書いたのは以下の5句。
いずれも読んで楽しい作品ばかりだ。
ろうそくが一本多い誕生日/小林祥司
世の中が変わるステテコまで変わる/島谷利行
背景になりきり座る木のベンチ/丹下純
カーナビの示す道なき道を行く/大野日出治
トーストにバター溶け込むほど眠る/川崎敏明