三分のちの世界を見てる

「角川 短歌」平成15年 8月号掲載



最後まで消えなかったね。右下にずっと映っていたよね、蛍。

ゆきちゃんの喉を出てきた月という月を見ている6月8日

こわいよう、こわいよう、という声がしてサンドイッチの胡瓜を剥がす

ポストまで抱きしめてゆく封筒は「僕のマリー」を歌いつづけて

泰山木の花びらが散る道に立ち三分のちの世界を見てる

ぷるるんとふるえたまんま抱きあって住民票をくださいと言う

金曜の予定を書けば金曜は白いひかりを放ちはじめる
by nakahara-r | 2003-08-21 11:28 | 短歌


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